中国現場カイゼン研究会のコラム

中国における製造業の生産性向上をデジタルとTPSでサポート。中国に製造にまつわるアレコレを書いてます。

数字で見る中国という国

こんにちは!

 

カイゼン研究会の宇賀です。

www.a-solsh.com

 

今回は新しく中国に赴任された方や、仕事で中国と関わりがある方に向けて中国という国の基本データを紹介していきます。

 

仕事で直接使うかどうかはわかりませんが、大まかに数字で抑えておくことで今の中国の規模感やニュースなどのトピックが理解しやすくなれば良いなということで、メルマガでお届けしていきます!

 

それでは紹介していきたいと思います。

 

少し古いデータで申し訳ないのですが、2020年のデータとなります。

 

(1)人口関係

(2)GDP関係

(3)財政関係

 

これらを日本や他国と比較していきながら順に見ていきます。

 

引用元

国家統計局

National Accounts - Analysis of Main Aggregates(国連)、

総務省統計局

財務省

 

(1)人口関係

■人口:14億1212万人 前年比+0.9%

■都市農村比率:64:36

■平均寿命:76.34歳 男73.64歳:女79.43歳

■人口割合

・~14歳:17.9%(11.8%)

・15歳~64歳:68.6%(59.4%)

・65歳以上:13.5%(28.8%)

()内は日本の2021年での割合

 

現時点ではまだ人口増加局面が続いていますが、2020年度は自然増加率が3.3%→1.5%に半減2030年ごろから、人口減少と予測されてましたが、このデータから大幅に前倒しとなり2025年までに減少が始まる可能性が高いとなっています。

 

人口問題については優先度が高く、2016年に一人っ子政策は廃止されましたが、効果は出ておらず、政策としては子育ての経済的負担を減らすということを推進しています。

(昨年の塾禁止政策もその一環)

 

生産年齢人口も2010年74.5%をピークに現在68.6%まで下がってきています。

(日本の数値に改めて驚きです)

 

高齢化は日本が世界トップですが、現在の中国の高齢化率はちょうど30年前の日本と同程度となっております。

 

今後もこの人口問題に向けた政策や定年年齢の見直し等のニュースが増えるかもしれません。

 

(2)GDP関係

■名目GDP:101兆5986.2億元(世界2位)

GDP製造業構成比:26%

アメリカ10.9%、日本18%、ドイツ20.4%)

■1人当たりGDP:72,000元(全国)

■1人当たりGDP:164,889元(北京)

■1人当たりGDP:155,768元(上海)

■1人当たりGDP:4,269,900円(日本)

 

国内総生産については世界第2位となっており、日本のGDPの約3倍、2030年前後にアメリカを抜くと予測されています。
(2020年はアメリカの約70%の水準)

 

しかし、先ほどの高齢化問題が今後出てくるので、それを解消するか、生産性を上げないと1位を維持することは難しい状況です。

 

製造業比率が高く、日本やドイツよりも高く雇用も多いことから、国としては製造業を重視しています。

 

加えて支出側からGDPを見たときに(GDE)中国のGDPは資産(設備やインフラ、不動産への投資や価値の上昇)に頼っている比率が他国と比べてかなり高いというのが見えてきます。

 

GDPに占める支出の割合は

日本       民間消費53%、総固定資本形成25%

アメリカ 民間消費67%、総固定資本形成21%

 

に対して中国は民間消費38%、総固定資本形成43%となっており資産や投資ではなく、民間の消費をどう高めていくかが課題となっています。

(構成の課題)

 

今後GDP成長率が落ち着いたとしても、賃金上昇への干渉等、消費を促すような環境や政策は続くことが考えられます。

 

1人当たりGDPで見るとドルベースでも1万ドル付近であり、日本でいうところの1980年台の水準です。

 

中国は広いので、全国平均と北京を比較すると2倍以上の差があり日本でいうところの1990年台の水準となっています。

 

為替がかなり影響するので一概には言えませんが、個人の生活レベルで見てみるとそういった経済段階に近いのかもしれません。

 

(3)財政関係

■一般会計(一般公共予算)

・歳入:18兆2913.9億元

・歳出:24兆5679.0億元

不足分が国債発行

 

特別会計(政府性基金)

・歳入:9兆3491.3億元

・歳出:11兆8058.0億元

 

一般会計、特別会計ともに赤字が拡大傾向にあります。

 

一般会計の歳入簡単に言うと税収等となっており、中国での割合は
所得税6%(30%)
法人税20%(14%)
消費税45%(30%)
()内は日本の国債を除く歳入に占める割合

 

となっており、間接税の占める割合が他国と比較してとても高いです。

 

人口のところでもあったように高齢化が進んでいるので、歳出に占める社会保障費の割合も上昇しておりこの10年で赤字幅、累積債務が増加しています。

 

一番大きな課題は特別会計の歳入のうち、約87%が土地使用権の販売による収入であり、歳入合計に占める割合も約30%となっています。

 

なので、土地の価格が下がったりしてしまうと政府の収入に大きな影響が出るという構造になっているのが現状で、国民の生活のために土地の価格上昇を止めたいという思いと収入が減ってしまうという状況の板挟みになっています。

 

それを解決するためには新たな収入源が必要となっており、最近のニュースで報道されているような固定資産税の導入が検討されております。

 

また現在、中国では贈与税相続税がないという状況なので共同富裕というスローガンのもと富裕層からの課税政策が実施されていく可能性があります。

 

2020年はコロナの影響もあったので2019年までのトレンドと違う部分もありますが(GDP成長率など)、今の中国はどういう状況なのか理解するのに役立つ数値だと思います。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。